<アイルランド編>No.8
第8回 ダブリンの危険な匂い
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ダブリンに到着したのは現地時間の7:30pm頃。いや〜遂に来ましたよ、アイルランド。ほんとに来ちゃったよ。なんせ当時は1990年、ロシアがまだペレストロイカ前のソ連だった頃、アイルランドなんて日本じゃまだまだマイナ−。予備知識はほとんどゼロ。まあ英語が公用語なので北欧よりは少し楽。パスポートにまた新しい入国スタンプが押される。空港内の銀行で早速アイリッシュ・ポンドにexchange。バスで中心地へ。
今までの整然とした北欧の街並みから一変して、がさつで 気取りのない市街地。なんていうか、吉祥寺っぽい。 ダブリンの中心地に到着したらしい。ちょっとウロウロして、高すぎず安すぎずもなさそうなB&B(ベッド&ブレックファースト、1泊朝食付きの宿)にトライ。日本人は珍しいのか 、部屋を案内してくれたおばちゃんに「どこから来たの?」 「何をしてるの?」「どうしてダブリンに来たの?」等々、質 問責めにあう。 「私は日本で音楽を勉強している大学生で 、アイルランドの音楽が好きだから来た」と説明すると、「Oh!music!」と言ってなんだかやたら歓迎された。部屋は 18、9世紀頃のような天井の高い装飾ゴテゴテのゴージャスなつくりで、なんだか逆に落ち着かない。 とりあえず喉が乾いてしょーがないので出かけようとすると、おばちゃんが「バックはひったくられるから肩から下げて必ず片手で押さえ、メインストリートの反対側は危ないから絶対に行かないように」と丁寧に教えてくれた。 うわ〜、そうか、そうなのか。やっぱ危険なのね。北欧は日本よりも治安が良くて安全だったた めに、海外での緊張感を忘れがちだった。気を引き締めて街に出る。人で賑わう近場のバーで ギネス(黒ビール。ねっとり感がある)を飲んで早々に退散。 翌朝は寒くて目が覚めた。風の音がビュービューいってる。朝食はつい食べすぎてしまう バイキングから解放され、シンプルにベーコンエッグ&トースト。さて、とりあえず街の地図を手に入れなければ。ツーリスト・インフォメーションを探すが見つからない。駅もよくわからない。 当面はB&Bの入り口にあった簡易案内図とカンを頼りに歩きまわることに。道がゴチャゴチャで人も多く、どうも吉祥寺とか下北沢とかを思い出す風情。安そうなcafe もどきに入ろうとすると、うわ、物乞いの少年が寄ってくる。 初めはわからなかったので話を聞こうとしたら、どこからともなく5人くらい同じような子が集まってきて取り囲まれてしまった。ヒ〜!心を鬼にして振り切って店に逃げ込もうとすると、ベビーカーをわざとらしく横に携えた、でも普通のおばさんが紙コップを差し出す。その向こうには壁にもたれかかり座り込んでポテトをむさぼり食う、ボロボロの服を着た少女が、、うう、やっぱ今までと全然違うものがある、、、 入った店はちゃんとしていて、ホットサンドとコーヒーで約430円と、オスロで使いすぎた金とふくらみすぎた腹を何とかきそうだ。しかしオスロで防寒服を日本に送ってしまったのを後悔。ダブリンも寒いよう。風が強いのだ。3月下旬だけど日本の1月か2月という感じ。 上着を探しにデパートをブラブラしたり、ちょっと怪しげな路地に入ってみたり。すると古着屋を発見。安い!400円くらいでジャケットを購入。さらに歩きまわりツーリスト・インフォメーションを発見。地図で道を確認しながらB&Bへ戻る。道端ではマッチ売りの少女ならぬ「ライター売りのお姉さん」達が叫んでいる。日本でいう「きんぎょ〜え〜金魚」「たけや〜竿竹〜」 みたいな感じで。 強風の中を歩き回ったのと緊張感で疲労したのか、1時間くらい昼寝(っつーか、お夕寝)。 6:00pm頃再び出かける。風は一向におさまらず、かなりうっとおしい。寒いよう。ファーストフードでKEBAB(肉と野菜たっぷりのタコスみたいなやつ)とコーヒー。どうやらこの国ではコーヒーというとミルク入りのことらしい。ブラックコーヒーっていわなきゃダメだわ(当時、私はブラックコーヒー派だった。しかし数年後に胃を壊してからは飲めなくなる。 今はもっぱらミルクティー&ハーブティー派)。どこの店でもBGMは結構なボリュームで、ラジオがガンガン。店員や客が曲に合わせて歌っちゃう。さて、地図でLIVE HOUSEという表示になっている店にLet's go ! なんか道が怪しげ。人通りも少なくちょっと不安。。。 おっと、あったあった。LIVEHOUSEじゃなくて「酒場」って感じ。カウンターでジンライムを注文するとバーテンが首をかしげライムジュースを出した。そうじゃないって。ジンandライム、ジンwithライムジュース、とかいろいろ言ってやっと通じた。日本で使ってる英語モドキはアテにならん。ところで演奏のほうはさっぱり始まらない。それにどこでやるんだ? 何杯か飲んで待つこと2時間、9:00pmころ客席の一部で演奏が始まった。フィドル(アイルランドのヴァイオリン)とアコーディオン二人。喋りながらやってて話がもりあがると、途中でやめちゃったりもする。日本で愛聴していたアイリッシュ・トラッドの曲が流れると、さすがに感動。そのうち白髪のおばあちゃん達が輪になって踊りだした。手拍子も加わって盛り上がる盛り上がる。ステージもないのに、たった二人で演奏していて楽器の音量もそんなにないというのに、なんなんだこの場のエネルギーは。ああ、ここでは音楽が「生きている」と思った。 |