<山歩き編(2)>

−第1日目− 94.7.12./曇りときどき雨

12:00pm新宿発、あずさ15号。4泊5日の霧ガ峰〜車山トレッキングの旅に出る。 ちょうどこの時期は緑の草原にニッコウキスゲのオレンジの花が散りばめられ、他の 高山植物も見頃となる。が、天気の不安定な時期でもあり、特に山では充分な注意が必要。 しかし当時の私にはそんなことを考える余裕がなかった。

2時間半ほどで上諏訪駅に到着。そこからバスで40分ほどの霧ガ峰ICへ。
絶景ドライブコースとして有名なビーナスラインの入り口。しかし霧ガ峰とはよく言ったもので、 ほんとに霧で周囲がほとんど見えない。おいおい大丈夫か?しかしまあ幻想的といえば幻想的。ドライブインはわりと人で賑わっている。湿原散策路に入るとぐっと静かになり、鳥や虫の音だけが聞こえるようになった。

このまま今日の宿「ヒュッテ・ジャベル」がある沢渡というポイントまで、散策路で行こう。案内図によれば50〜60分。4:30pm過ぎくらいに着くのでちょうどいい。やっと一人旅っぽくなってきた。しかし、、、初めはカップルとかがチョロチョロ歩いてたりして、素人向けの整備路だったのに、だんだん林の中に入っていって、山道になってきた。まあでも登ったりしないから平気平気、と進んでいくと、アレ?どっち?焦って適当に行くと道路に出てしまった。戻ってよーく見るとクマザサに隠れた標識を
発見。「八島、沢渡方面」にずんずん進む。誰もいない。ん?気付くと、、、
ゲッ!足元がびちょびちょである。ちょうど膝の下あたりまで雨に濡れたクマザサが道をほとんど占領しているのだ。晴れた日ならガサガサいうだけで別に問題ないが、こういうことになるとは計算に入れていなかった。道路を歩けばよかった。
しかしここまで来たら引き返すのも一苦労。雨も降ってきたので、宿に早く到着することが先決。この辺りから独り言が絶えなくなる。

今まではまだ明るい草原の中だったからよかった。今度はうっそうとした森の中に入っていく。道も大きい石というか岩をつたって行く山道に変貌。フッと立ち止まりまわりを見回すと、、、 暗〜い!!石や木の根、幹に不気味な色のコケが生え、暗いので物凄くグロテスクに見える。違う生物みたい。辺りは見事にしーんとしている、、、ヒ〜!コワイよ〜。
ヤダ〜こんなの〜などと独り言を言いながら足元だけ見て立ち止まらないように ぐいぐい進んだ。もう膝の方までビショ濡れ。息もきれぎれ。とにかくこの森の中を 早く抜けたい。後で思ったのだが、よく道に迷わなかったな。
と、視界がパッと明るくなった。草原に花がチラホラと咲いている。雨も止んだ。ホッ。 さらに進む。左側はさっきの森が続き、右側は草原。「カッコウ カッコウ」という声を耳にして、ものすごい安堵感を覚える。しかしさっきから独り言が絶えません。恐くてずっとしゃべってます。時間的にももうそろそろ沢渡に着くはず。がんばるんだっ。また森の中に入ったらヤダな〜、
でも今度は慌てないぞ。とかブツブツ言ってると、人の姿が、、、独り言を聞かれ、ちょっと恥ずかし。しかしきっともうすぐだね。あっさり舗装路に出て、「ヒュッテ・ジャベル」の看板が、、、。

ちょっと登っていくと、ありました。ホントに山小屋。4:10pm着。すごい早さで歩いてきたのね。奥さんは親切で、ジーパンを乾かすところを教えてくれてストーブをつけてくれた。おフロも今ならゆっくり一人で入れますよ、って。部屋はトーゼンTVも電話もない山小屋和室。しかしやっと一息つける。ま、お茶でもいただいて、荷物を整理して、、、してたら雨が本格的に降ってきた。こりゃあと10分遅かったらあたしゃあの森の中で泣いてたよ〜。

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