■ドッペルゲンガー(その2)
高校生のとき、学校から家への帰り道、家が見えてきたところで、玄関から父親が出てきたのを見た。
いつものハンチング帽をかぶっていて、私は「ああ、これから出かけるんだな」と思って歩いていった。(父は声優の仕事などしていて、朝早くより午後から出かけることのほうが多かった)
なんとなく反抗期で父を避け気味だったので、すれ違う直前まで気づかないフリでもしようと、周りの家などを見て歩いていると、いつまでたってもすれ違わない。私が歩いてきた道の反対の方へ出てすぐ角を曲がったのかな、と思い、家に着いて、おばあちゃんに
「今パパが出かけたでしょ」と言うと、「はて? いつの間に出かけたのかしら?」と不思議な顔をしているので、おかしいなと思って父の部屋に行ってみると、いびきをかいて眠っていた。
どうりですれ違わなかったはずだ。
しかし、確かに玄関から出る姿を見たのだ。
ドッペルゲンガーは、いるはずのないところで目撃されるもう一人の自分で、霊と肉体の結びつきが弱まっている証拠だから、近いうちに病気や事故で死亡することが多い、と知っていたので、さすがに父に話して注意するように促した。でも、自分も幼稚園のときにもう一人の自分を見ているので、それでまだ生きているから大丈夫かも、などと言った気もする。
いずれにしろその後特に何も起こらなかった。(父は2000年春に心不全で急逝しました)